“日本最大の犯罪集団”と聞けば、普通の人が思い浮かべるのは山口組かもしれない。しかし、「権力を利用して利権を漁り、組織的に金儲けをする」「身内の犯罪を組織的に隠蔽する」という点では、わが国の警察に勝る集団はいない。この警察を執念で追い続ける、日本では稀有なジャーナリストである寺澤有氏の新刊が発売された。一節をひもとこう。1993年、秋田県警防犯課所属の巡査による恐喝事件が発覚したが、実は恐喝だけでなく強制わいせつ、強姦も犯していた。スピード違反容疑の女性を脅してレイプするという、許しがたい犯罪であった。ところが秋田県警は被害女性2人に対し、「告訴をすると、裁判とかで表に出なきゃならないし、マスコミも取材に来るかもしれない。それなら告訴しないほうがいいんじゃないか」「示談にすれば慰謝料が100万円もらえる」と、もみ消しをはかったのだ(県警側は否定)。加害者の巡査に取材したところ、ほかにも同様の手口で恐喝した警察官がいたと証言している。テレビでよく放映される、警察官の活躍を描く番組を見て、「警察官は正義の味方」と思っている方には信じがたいエピソードかもしれない。だが、これはごく一部の警察官の犯罪ではなく、氷山の一角にすぎない。とりわけ裏金づくりは全国的かつ組織的におこなわれている。その一例が、「変死体検案謝金」というニセの支出で裏金がプールされている疑惑だ。寺澤氏はこの疑惑を、情報公開請求により開示させた文書9万枚を閲覧し、執念で突き止めた。「東日本大震災の死者が1万人で3000万円、2万人で6000万円の裏金がつくられることになる」というから、衝撃的だ。犯罪を取り締まる立場のものが犯罪をおかし、さらにそれを組織的に隠蔽するのだから、こんなに無法でたちの悪い組織はほかにない。そして、こうした警察の腐敗を追及するべきマスコミは、記者クラブ制度によりかかり、警察の公式発表しか報道しない。寺澤氏も製作協力した映画「ポチの告白」(2009年1月劇場公開)でも、警察の実態とマスコミの癒着ぶりが描かれている。これもおすすめの映画だ。(667円+税)
2012年2月17日掲載。この記事の続きを見たい方は、本紙改訂有料ネット記事アクセス・ジャーナルへ