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2009.11.26

<心声天語>(165)「奇跡のリンゴ」

木村秋則さんの「奇跡のリンゴ」が話題になっている。木村さんがりんごの自然栽培に取り組んだのは、20数年前である。たまたま入った本屋に「自然農法論」があり、それを手にして、無肥料・無農薬で米が作れることに強い刺激を受け、りんごでも出来ないだろうかと思ったのがきっかけだ◆木村さんは長い間、挫折と苦悩の連続であった。大量の害虫が発生し、酢、ワサビ、みそなど、あらゆるものを農薬代わりに試した。家族も朝から晩まで害虫退治にかりだされた。生活も困窮を極め、一個の消しゴムを三つに切って子どもたちに使わせた◆85年、耐えかねた木村さんは首をつろうと山に登った。山には木の葉が生い茂っていた。木の周りの雑草をみて、ヒントは土にあると思った木村さんは、土を掘り返した。土が温かい。土の中で繁殖した微生物が落ち葉や草を分解し、栄養分を作り出していた◆再び挑んだ木村さんは、それまで刈り取っていた雑草を放置した。すると、リンゴの木はみるみるうちに元気になった。8年目の1986年、400本の木からわずか2個だけ、ピンポン玉ほどの実がなった。そしてその翌年には、畑一面にりんごの花が咲き乱れた。涙が止まらなかったという◆木村さんのリンゴは今、あらかじめ注文しないと買えないほどの人気である。数年前、NHKが「木村さんのりんごのスープ」を出すレストランを取材した。レストランで2年間保存していた二切れのリンゴは、腐っても変色してもいなかった◆木村さんは、首をつろうとした“その山”で「奇跡のリンゴ」のヒントを得た。世の先駆者たちがそうであったように、“奇跡”と思えるほどの運命は、「もう限界だ」と思えるほどの、ぎりぎりのところまでいかないとおこらないのである。(和光)
2009年11月26日掲載。この記事の続きを見たい方は、本紙改訂有料ネット記事アクセス・ジャーナルへ

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