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2009.04.09

<心声天語>(106)眩しすぎる話

  出会い系サイトからジャンク・メールが届く。内容は“売春営業”である。なかには、「人妻」の文句で誘ってくるメールも少なくない。女性の貞操観念がこれほどまで地に落ちるとは、寂しい限りである。日本女性も、かつては「大和撫子」と言われていたのに…◆終戦を迎えた昭和二十年。平壌(現北朝鮮)に出兵していた峰谷弥三郎氏(当時二十七歳)は、二歳年上の妻と一歳になった娘を残し、スパイ罪の容疑でソ連兵に連行された。蜂谷氏は容疑を否定した。しかし、一方的な裁判にて十年間の強制収容所送りとなった◆極寒の地シベリアで過酷な労働に駆り出される日々。囚人の身から解放されると今度は、当局の厳重な監視下に置かれた。家族との連絡、日本への帰国も禁じられた。生きるためにソ連国籍を取得した蜂谷氏は、日本語を忘れまいと百人一首を口ずさみ、指で漢字をなぞったという◆蜂谷氏は、ソ連が崩壊したことで五十一年ぶりに祖国の地を踏むことになった。一九九七年六月、連絡を受けた草津市役所は峰谷氏の本籍地に連絡を入れた。すると、そこには戸籍から夫の名を消さずに待ち続けていた妻の久子さん(当時八十歳)がいた。五十一年ぶりに再開した老いた夫婦は、語る言葉もなく抱き合った◆半世紀を待ち続けた彼女は、夫は必ず帰ってくる、と信じ続けることで「夫との愛」を貫こうとした…いや、「蜂谷の妻」であるという「自分自身への証し」のために待ち続けたに違いない。不倫や人妻売春が氾濫している現代社会、男と女の愛が損得勘定でしか計られない今日にあって、眩しすぎる話である。(和光)
2009年4月9日掲載。この記事の続きを見たい方は、本紙改訂有料ネット記事アクセス・ジャーナルへ


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