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2008.09.08

<心声天語>(49)三島由紀夫の割腹自殺

 戦後、日本人が最も衝撃を受けた事件に「三島由紀夫の割腹自殺」がある。一九七〇年十一月二十五日、三島は自ら主宰する「楯の会」のメンバー四人と市ヶ谷の陸上自衛隊駐屯地を訪れた。そして彼は、総監室に押し入り、持ってきた日本刀で増田総監を脅し、縛り上げた◆三島は総監室のバルコニーから演説を始めた。『日本は経済的繁栄にうつつを抜かし、精神は空っぽになってしまったのだぞ。君たち分かるか!』。バルコニーの下で約千人の自衛官が三島の演説を聞いていたが、反応は冷ややかだった。中には、ニヤニヤしながら、からかうように、野次を飛ばす者もいた◆三島の語調は次第に、悲壮なものに変わっていった。総監室に引き上げた三島は、『自分は仕方がなくなったのだ』という謎めいた言葉を残した後、自決した。世界中のマスコミは、「武士の腹切り」との視点から大々的に報じ、日本の軍国主義に照準を合わさる解説をも、付け加えた◆三島は、事件の当日、知人を通じて最終原稿を出版社に届けた。その終わりには、「そのほかには何一つ音とてなく、寂実を極めている。この庭には何もない。記憶もなければ何もないところへ自分は来てしまった」と記されてあった◆三島由紀夫という憂国者は、高度成長で沸きかえっている当時の日本で、本気でクーデターを起こせると思ったのだろうか…それとも、死をもって何かのメッセージを発したかったのだろうか…。福田首相の辞任に接し、三島が死をもって叫んだ『日本人の精神は空っぽになってしまった』という言葉がなんとなく、理解できるような気がしてきた。(和光)
2008年9月8日掲載。この記事を見たい方は、本紙改訂有料ネット記事アクセス・ジャーナルへ

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