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2008.05.29

<連載コラム>心声天語(20)罪と呵責 

学生時代に読んだ小説の話である。筋書きは、自分の不注意から四十五歳の殺人犯を逃してしまった刑事が、二十九年間にわたって殺人犯を追う話である。追う者の憎しみと追われる者の苦しみ。その間、刑事は何度も犯人を追い詰めるも後一歩のところで、逃げられてしまうのであった◆月日は流れた。六十歳になった刑事は警察を定年退職することになった。だが彼は、犯人への憎しみに駆られてなおも、殺人犯を追い続けることにした。自分の中に刻まれた悔いを復讐で拭い去ろうとするかのように…◆ある日、老刑事は犯人の潜む家を突き止めた。運命を清算する瞬間がやってきた。老刑事は二十九年前の手配写真を片手に玄関をノックした。しばらくするとドアが開かれ、中から殺人犯が出てきた。しかしそこには、殺人犯の凶暴な面影はなく、生きることに疲れた七十四歳の、老いた男の姿だけがあった◆二十九年ぶりに向かい合う老刑事と殺人犯。しかし二人は、どちらからともなく互いの手を握り締め、涙を流しあった。殺人犯を捕まえることに二十九年間もの歳月を費やした老刑事ではあったが、なぜか、殺人犯に対する憎しみは芽生えてこなかった。もはや、二人の関係は元刑事と逃亡者のそれではなく、運命を分かち合った「人生の相方」になっていた◆老刑事は、殺人犯を捕まえずして静かにその場を去った。彼は、老いた殺人犯の姿に歳月の虚しさを噛み締めつつ、運命に刻まれた憎しみを「罪を赦す」ことで消し去ろうとした、のかもしれない。人間の心は、憎むことで苦しみ、赦すことで癒される。しかし、赦される者の中に芽生える呵責こそ、最も残酷な罰なのである。(和光)
2008年5月29日掲載。この記事を見たい方は、本紙改訂有料ネット記事アクセス・ジャーナルへ

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