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2005.11.03

「NYから眺めたフジヤマ」byマイク・アキオステリス(日本通米国ジャーナリスト)(42)「親切」と「やさしさ」の国

先週、日本の出張から帰った。今回、成田空港での体験に皮肉な感動を覚えた。成田空港第一ターミナル、入国審査をおえて搭乗口ゲートに向かう途中、「喫煙室」があった。喫煙家の私はさっそく、喫煙室に入った。するとそ43こに「ライター」が備えられてあった。ライターといっても「100円ライター」ではなく、自動車用のシガレット・ライターと同じものである。喫煙室の中央通路にステンレス製の直径30センチ、高さ70センチぐらいの筒があり、その上面にシガレット・ライターが3つ付いていた。ボタンを押して10秒ぐらいするとコイルが真っ赤になって飛び出してくるライターである。電源の配線をみると「ちょっとした工事」を要する施設であることがわかった。このようなライターは既製品にないので特注だと思えた。金のかかる配慮である。喫煙室にライターを備え付けたのはテロ対策の一環として施されている「ライター類の機内持込禁止」からであろう。それにしても日本はなんと親切で、やさしい国だろうと思った。最近の空港はどこの国も「禁煙」である。これは今や「世界の常識」となっている。ところが、成田空港では“愛煙家”のために喫煙室を設けている。それもライターまで備え付けられてある。これほど親切な配慮は世界でも日本だけだ。成田空港だけではない。日本では公の場であっても、タバコを吸う権利はちゃんと認めてくれている。JR新幹線のプラット・ホームもそうだ。ホームの数箇所に「喫煙所」と書かれた場所がある。そしてそこにもステンレス製の立派な灰皿が備えられてある。いくらタバコの煙が周囲に嫌われようとも「決められた場所」では堂々と吸えるのである。愛煙家にとってはなんとも嬉しい理解だ。しかし、愛煙家を自認している私がいうのもなんだが、駅構内を全面禁煙とした以上、狭いプラット・ホームにわざわざ「喫煙所」を設けるのはおかしい。禁煙の処置は「場所」の問題ではなく、「煙の害」をして施される処置であるはず。これでは“抜け穴”をつくっているような印象を与えかねない。このようなことはタバコに限ったことではない。日本社会では「少数意見」にもちゃんと、配慮しなければならないようだ。もちろん少数意見、少数者権利には理解・配慮をもって向かい合わなければならない。だが、このような場合の配慮は「甘え」「偽善」「似非やさしさ」に他ならないように思えてならない。駅構内、空港構内は全面禁煙としながらもなぜ、例外を設けてしまうのだろう。これらは身体障害者に対する配慮とは違うのである。日本は一見、親切でやさしい国…、否、本当に親切でやさしい国である。エスカレーターに乗ると「もうすぐ降り口。足元には気をつけてください」とのアナウンスが延々と流れ、電車に乗ると「電車が動くと揺れますので気をつけてください」「ドアに指を挟まれないように気をつけてください」、駅の階段には「階段の上り下りには注意しましょう」…、幼稚園児でもわかるような注意書がベタベタ貼ってある。極めつけは「シルバー・シート」なるものだ。そこには「お年寄りや身体の不自由な方に席を譲りましょう」と書いてあるがいかんせん、それを守っている若者たちは少ないようだ。日本では「やさしさ」なる言葉が大流行である。企業は「環境にやさしい製品」を唱え、政府は「国民にやさしい政治」と叫んでいる。でも、その中には「甘え」をして放たれるやさしさが、少なくない。本当のやさしさ、本当の親切がどんなものか知らないから「やさしさ」を連発しているようだ。本当の“やさしさ”とはときに、「ルールと厳しく」向かいあう意識から連鎖されるものなのである。

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