« パシコン・荒木民生代表、訴えた本紙記事削除申立における「陳述書」で、放火事件は自作自演と述べる | トップページ | 大手水産会社子会社も関与? 中国産の国産うなぎ偽装販売疑惑 »

2005.07.25

<新連載開始>「NYから眺めたフジヤマ」byマイク・アキオステリス(日本通米国ジャーナリスト)30 「バブルに舞った人生」   

7月18日、旧2信用組合の乱脈融資事件で背任罪に問われた旧東京協和信用組合の高橋治則(たかはし・はるのり)元理事長(1、2審で実刑、上告中)が、くも膜下出血のため死去した。享年59歳。高橋元理事長は「イ・アイ・イ」グループのトップとして、山口敏夫元労相や旧大蔵省幹部など政官界に人脈を広げ、旧長期信用銀行の2バックアップを受けて国内外で大規模なリゾート事業を展開。ピーク時には一兆円以上のグループ総資産を誇り「南太平洋のリゾート王」とも呼ばれた。だが、バブルはあっけなく崩壊してしまった。彼は両信組から無担保や担保不足のまま、巨額の融資を引き出し焦げ付かせ、両信組を破綻に追い込んだとして、2003年6月、東京高裁から懲役3年6月の実刑判決を言い渡された。リゾート王から被告の身に転落した彼の人生に、錯覚に酔いしれた「哀れさ」が映し出される。日本を、日本人を狂わせたバブルは、日本人が初めて経験する“熱病”であったかもしれない。東洋の小さな島国が世界を買えると思った錯覚、ジャパン・マネーが世界で最も価値があると信じた無知、そして、国際社会を見下した傲慢な振る舞いは、日本人の限界をして生じさせた現象であろう。敗戦で迎えた戦後、日本はアメリカに叩きのめされたことで、アメリカの国力・経済力を思い知らされた。日本人の中に刻まれた欧米社会に対するコンプレックス…、戦争に負けた屈辱と自尊心は「今に見ておれ」との、励みと悔しさに置き換えられた。日本は自ら“アメリカの弟分”に徹する“知恵”と“処世”をして、「アメリカに追いつけ追い越せ」を目標に据えた。「日本株式会社」「エコノミック・アニマル」と影口をたたかれながらもがむしゃらに、金儲けに徹したのである。優秀で勤勉な日本人はやがて、アメリカに次ぐ世界第二の経済大国に上り詰めた。そればかりか、日本製品の品質・技術はアメリカを凌駕し、日本の技術がなければアメリカの宇宙計画も支障をきたすまでになった。この頃から、日本人の意識の中に「アメリカをも追い越せる」との自信が芽生えだした。時を同じくして、米国人作家が書いた「ジャパン・アズ・ナンバーワン」がベストセラーになった。世界がこぞって、日本式経営に熱い視線を向けるようになるや、日本人の自信は“錯覚”に変わっていった。米フォーブス誌が発表する世界の富豪ランキング・トップテンに6人もの日本人が顔を揃えた。世界一の経済大国になれたと信じた錯覚…、でも、当時はそれを、錯覚とは思う人はいなかった。さっそく、日本は自分たちの自信を世界に誇ろうとした。それにはまず、世界一の経済大国アメリカを買い漁ることで証明しようとした。さっそく、アメリカの象徴であり自尊心であるエンパイヤー・ステートビル、ロックフェラー・センター、ハリウッドの映画産業をも手中にした。時期を同じくして、高橋元理事長もまた、南太平洋のリゾート王として華やかなスポットライトを浴びていた。日本中が有頂天に舞っていたバブルの宴である。バブル崩壊後、日本は史上最も長い不況に突入した。今なお、バブルの後遺症は日本中で野晒しになっている。井の中の蛙が腹を膨らませ続けた結果は、悲惨なまでの「現実」でしかなかった。若くして逝った高橋元理事長は、バブルを象徴する人物として永遠に、記憶されるだろう。

|

« パシコン・荒木民生代表、訴えた本紙記事削除申立における「陳述書」で、放火事件は自作自演と述べる | トップページ | 大手水産会社子会社も関与? 中国産の国産うなぎ偽装販売疑惑 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/57690/5139074

この記事へのトラックバック一覧です: <新連載開始>「NYから眺めたフジヤマ」byマイク・アキオステリス(日本通米国ジャーナリスト)30 「バブルに舞った人生」    :

« パシコン・荒木民生代表、訴えた本紙記事削除申立における「陳述書」で、放火事件は自作自演と述べる | トップページ | 大手水産会社子会社も関与? 中国産の国産うなぎ偽装販売疑惑 »