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2005.06.05

<新連載開始>「NYから眺めたフジヤマ」byマイク・アキオステリス(日本通米国ジャーナリスト)22 日本の“延々裁判”         

運転停止中の高速増殖炉「もんじゅ」を巡り、住民らが設置許可の無効確認を求めた(訴訟開始は1985年)上告審で、最高裁第一小法廷は30日、二審の高裁判決を破棄し、国側の逆転勝訴が確定した。同訴訟は最高裁まで20年かかったわけだが、日本では二十年以上の裁判はざらである。リクルート事件の一審判決は初公判か11ら十三年目。「甲山事件」で無罪の判決が言い渡されたのが事件から二十四年目。検察が求刑した十三年をはるかに上回る年月である。盛岡地裁の法人税法違反事件に至っては、起訴から判決まで二十五年半かかっている。さらに、オウム麻原被告に一審判決が下されたのが裁判開始から七年目、この調子だと、最高裁にて刑が確定する頃には多分、事件が風化しているだろう。冤罪を防ぐためにも公正な裁判を実施し、事実関係を明確にするのは当然とは思うが、被害者感情、世論を考えると、多くの国民が裁判の敏速化を望んでいるはずだ。日本の司法制度、司法サービスはかなり遅れている。日本で裁判が長期化するのは訴訟の件数に比べて法曹関係者の数が少ないからともいわれている。裁判官や検事も少ないが極端に少ないのが弁護士だ。英国の弁護士数は80800人、ドイツが85800人、フランスが29300人、ところが日本は16300人である。それも、そのうち四割は東京・大阪に集中し、弁護士が100人に満たない県が28県、全国3300余の市区町村の85%には、弁護士が一人もいないというから驚きだ(司法制度改革推進本部顧問会議の資料を参考)。これでは十分な司法サービスが受けられない。日本の裁判が「延々…」となっているもう一つの要因が審理の進め方にある。日本での裁判審理は書面のやりとりが中心となっている。裁判官、検事、弁護士が出席する「裁きの場」としての体裁は整っているのだが、実際の進行は書類のやりとりがほとんどだ。自らの主張は文書で提出、相手方に対する反論もまた、次回の公判で文書となる。双方が文字通りの弁論を戦わせることは少ない。そして、次の公判は早くて一~二か月後だ。一回の公判で審理が少ししか進まず、次の公判が数ヶ月後というスロー・ペースなのである。先の米大統領選挙でフロリダ州での開票をめぐる最高裁審理がテレビで中継されたが、双方の弁護士が法廷で文字通りの弁論を繰り広げた。レンキスト連邦最高裁長官自らが双方の弁護士に矢継ぎ早に質問を浴びせていたのに対し、質問された弁護士はその場で答えなければならない。何事においても文書で回答するという日本では考えられない展開である。日本で以前、法廷で居眠りばかりしている裁判官が裁判官訴追委員会に訴追請求されたが、日本弁護士会でも法廷での居眠りが問題になっているそうだ。これも、日本の裁判は文書のやりとりが中心で、弁論と言っても文書を朗読するに過ぎず、居眠りしても裁判官が務まるらしい。日本の司法関係者は弁論を戦わせることを苦手とし、法廷は文書のやりとりをする場となってしまった。これでは二十年以上の裁判は当然である。裁判とは、人々の記憶に残っている間に裁かれるべきものである。一昨年、首相官邸で開かれた司法改革会議で小泉首相は、新聞の投稿欄に掲載された川柳を引用し、裁判の迅速化を訴えていた。その川柳というのが「思い出の事件を裁く最高裁」という句であった。

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