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2005.05.13

<新連載開始>「NYから眺めたフジヤマ」byマイク・アキオステリス(日本通米ジャーナリスト)⑰トヨタの快進撃と奥田会長の傲慢発言

世界一の自動車メーカーであるGMに黄信号がともった。米産業はこれまでに繊維、鉄鋼、家電、半導体…と、尽く振興工業国に追いつかれ、敗退を余儀なくされた。しかし、自動車産業は事情が違う。他のすべての産業を後者に譲っても、事、自動車産業だけは譲れない…、自動車産業は我々米国の技術力・産業力を世界に翳してきた「証し」だからである。それだけに、アメリカにとってゼネラル・モーターズ、フォード自動車、クライスラーからなる米ビックスリーは、自動車メーカーである前にまず、アメリカの自負心、自尊心なのである。ところが、ここにきて世界一の座を11「日本のトヨタ」に奪われようとしている。トヨタの05年3月期連結決算(米国会計基準)は、当期利益が1兆1712億円、1兆円を突破した前期を0.8%上回り、過去最高益を更新した。トヨタの快進撃に米政財界、米自動車業界は只ならぬものを感じている。これは一自動車産業の問題ではない。アメリカの産業界が味わう初めての挫折感、敗北感でもあろう。しかし、自由主義市場におけるフェアーな競争結果に異を唱え、クレームを入れることは出来ない。さらに、米現地工場にて生産されるトヨタ車ゆえ、貿易摩擦問題を持ち出すことも難しい。そんな時、トヨタ自動車の奥田碩会長が「自動車は米国の象徴産業で、昔のような経済摩擦、貿易摩擦は起きないにしろ、(日本の自動車産業に)何らかの影響が出る」との見方を示しつつ、「技術提携をしたり、値段をいじったりする必要がある」と述べ、米国市場でトヨタ車を値上げする可能性を示唆した。なんという傲慢な発言だろう。奥田氏の発言が米国民の心情を逆なでしたことは、想像に難くない。その言葉の裏には、品質のいい車を安い値段で売っているから競争力がある…ならば値上げすることで競争力を下げればいい、とのニュアンスを感じる。さらに、世界の自動車産業を発達させてきたと自負している先輩メーカーに対し、「トヨタが技術を供与してもいい」と言い放ったのだから、同じ自動車業界の人間にあるまじき発言である。もちろん、品質や価格、ハイブリットなどの次世代技術は、トヨタの方に軍配があがる。また、米メーカーの怠慢も問題だ。だが、そのことと奥田会長の発言は重ならない。11別の言い方、知恵からなる言葉があったはずだ。それを「値上げしてもいい」「技術を供与していい」との発言は“傲慢”のなにものでもない。奥田氏の発言にさっそく、日本でもホンダの雨宮高一副社長が「独占禁止法をどう考えているのか」と疑問を呈し、「消費者のことを考えない値上げ発言はおかしい」との声もあがった。すると奥田氏は、「私も日本経団連会長だし、トヨタ自動車でここまでやってきた人間だ。トヨタ自動車、あるいは一般的な経済人の見方としては値上げもありえるということを言った。それを“つべこべ”いろんなことを言うのは非常にけしからん」とまくしたてた。同じ業界で向かい合ったところの意見に対し、「つべこべ言うのは…けしからん!」と反発するとは、奥田氏は自分を“何様”と思っているのだろう。この程度の人物が日本の産業界代表の経団連会長兼トヨタ会長とは、経済大国を自認している日本には本物の経営者、真の企業家はいないようである。米政財界は今回の奥田氏の発言に、今後、どんな反応を見せ、どんなカードを繰り出すだろう。(写真はトヨタ奥田会長とトヨタのカナダ工場

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コメント

言葉の表現はともかく、奥田氏がデルファイ破綻に至ったGMの深刻な危機を、あの時点で見通していたのなら立派です。
トヨタが売れ過ぎてアメリカが困っていることを、誰よりも深く認識していたのかも知れない。
物事には常に裏があるということでしょうね。
この件(GMやフォードの不振とトヨタの絶好調)について、米政財界に繰り出すカードなんてあるのでしょうか?

投稿: みき | 2005.10.19 23:05

初めて訪問しました。
renshiさんのブログからきました。
奥田会長に関しては以前から「こんな人が経団連の会長で良いのか?」と常々疑問に思っていました。
物事には常に裏があると思っていますので(当たり前かな)、非常に興味深く読ませていただきました。
また訪問したと思いますので、よろしくお願いします。

投稿: sakaturn | 2005.05.14 18:38

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