カテゴリー「書評」の記事

2018年12月12日 (水)

書評『他人の頭を借りる超仕事術』(臼井由妃著。青春出版社)

51ecljjpdvl_sx350_bo1204203200__2 「仕事が多すぎる。なんとか減らしたい」「同じ仕事を繰り返していて、自己成長につながらない」。こんな気持ちで毎日働いている人も多いだろう。
 病身の夫の後を継ぎ、専業主婦から社長に転身した異色の経営者である著者は、「仕事ができる人は、仕事を全部自分でやらない人だ」「仕事量の8割ほどを人に任せ、残りの2割の仕事に集中する人が大きく成長する」と説く。
 そうは言っても、「人に任せるより自分がやったほうが早い」とか「人に仕事を押し付けて、自分は怠けていいのか」と思う方もいるだろう。
 著者によれば、自分にしかできない仕事の見分け方があり、人への任せ方にもコツがあるという。
 まず「自分の棚卸し」で、自分にしかできない2割の仕事を見出す(第2章)。その上で、仕事の8割をいかにして人に任せるのかを具体的にアドバイス(第3章)。任せる相手はどんなタイプか、どうすれば上手に任せることができるのか。・・・この辺りに著者ならではの経営術が垣間見える。
 本書は2011年発行の『仕事の8割は人に任せなさい!』の改訂版。その間、に急速に発達したSNSをいかに利用するかといった点が追加・修正されている。
 年末に本書を読んで、来年からは新しい仕事術を身につけ、自己成長してみてはいかがだろうか。

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2018年9月14日 (金)

『やさしい漢方の本 さわれば分かる腹診入門』(平地治美著)

519ytflnk2l_sx338_bo1204203200__2  著者・平地治美氏は、「アクセスジャーナル」紙上で“健康の勧め”という連載記事を昨年まで計36回にわたって寄稿して頂いたことがある、漢方の専門家だ。
 去る8月、わかりやすいと好評だった『舌診入門』に続き本書『腹診入門』が発売された。
 漢方の診断と言っても、腹診は中国伝来ではなく、江戸時代に独特の発展を遂げた日本独自の診断方法とのこと。第1章でそうした歴史が書かれてある。
 続く第2章は、実際に読者が自分で腹診を試す手引きになっている。特別なものは不要だ。必要なのは、自分の手だけ。その方法は、イラスト入りで理解しやすい。腹診の目的は治療ではなく、自分のお腹を見て、触ることによって、日々の健康管理に活かすことだ。
 第3章で、いよいよ腹診によって自分のお腹の具合を診断していく。症状に応じたツボの見付け方や、漢方薬の効能が解説されていて、ここが本書の中心部分。
 中年男性だとお腹の出具合が気になるところだが、太鼓腹(パツパツ)なのか、カエル腹(ブヨブヨ)なのかによって、出やすい症状や養生方法が異なることが、本書を読むとよくわかる。
 巻末には日々の健康管理に役に立つチェックシートが付いており、役に立つ。健康管理を手軽にやりたい方におすすめの一冊だ。
(日貿出版社、本体1500円)

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2018年5月12日 (土)

<書評>『ゴッドファーザーの血』(マリオ・ルチアーノ著)

11 タイトルだけ見ると、関係者のマフィア世界の暴露本と思われるかも知れない。
 確かに、著者のマリオ・ルチアーノ氏(53)は、イタリア・シチリア島生まれ、そして米NY5大ファミリーのボスの1人だったラッキー・ルチアーノの血族で、NYで暮らしていた9歳からファミリーの「運び屋」もしていた。しかし、14歳にファミリーを抜けNYを出ている。
 もっとも、以降、23歳で訪日するまでパキスタン、フィリピンなど世界各地を転々としている間も、訪日後も長年、ゴッドファーザーの血が呼ぶのか、裏社会と接点を持ち、特にわが国では長年、山口組系の「経済ヤクザ」をしていたという。
 というわけで、本書は、映画「ゴッドファーザー」のモデルにもなった伝説のマフィア血族の自伝だ。
 もっとも、それだけに出て来る人物もアラファト元PLO議長、マルコス大統領、アルカイダ、5代目山口組・渡辺芳則組長、岡村吾一氏から、高倉健、プロレスラーのタイガー戸口など実に多彩。
 とはいえ、決して裏社会を礼賛していない。カネが原因で親兄弟まで含め数々の裏切りに会った挙げ句、見つけた本物は日本人女性との「愛」で、足を洗ったという顛末。
 いずれにしろ、その激動の半生は興味深く、その世界に興味がある者なら一挙に読み終えること請け合いだ。
(双葉社・1500円+税)

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2018年3月28日 (水)

<書評>『地図から消される街ーー3.11後の「言ってはいけない信実」』(青木美希著)

51kx3fsbel_sx305_bo1204203200_  福島第一原発事故以来、現場に通い続けた朝日新聞記者の新書。
 避難したものの賠償金打ち切りで生活が行き詰まり、自死に追い込まれる人々。「原発いじめ」に会う子どもたち。現実を無視した「帰還」事業の陰で、事実上、切り捨てられていく避難者の姿がまざまざと迫ってくる。
 とりわけ著者らがスクープした除染作業の実態は深刻で、多重下請構造のもとで作業員の賃金はピンハネされている。内部被曝を強いられても除染の効果は薄い。その一方でゼネコンだけが儲けている。
 政府は東京五輪を前に福島の「復興」を叫ぶが、本書を読むとそれが空しく響くばかりだ。
 政府がこうした「不都合な事実」をもみ消そうとし、大手メディアも報じないため、原発事故が風化しつつある今だからこそ、読んでおくべき本だ。

(講談社現代新書。920円+税)

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2017年4月28日 (金)

本の紹介「『和の食』全史・縄文から現代まで 長寿国・日本の恵み」(永山久夫著)

Img153 縄文時代から現代に至る、1万年に及ぶ和食の歴史をたどった本だ。
 もともと日本列島は稲、アワ、そば、大豆、小豆など豊富な植物の種子があった。和食の特徴は、刺身に代表される素材第一主義。それに加え、中国や西洋から渡来した食べ物を、日本人の味覚にあわせて取り込み、独自の“国民食”へと進化させてきたことはよく知られている。
 有名なのは明治のライスカレーだ。ただもっと時代をさかのぼると、例えば「羊羹」は、もともと中国伝来の肉料理だったが、日本で精進料理化して、室町時代には今と同じ「砂糖羊羹」になった。
 戦国時代の武士の食生活も興味深い。一日に黒米が5合。黒米は玄米に近いもので、ビタミンB1が豊富で、疲労回復に役立ち、集中力がアップする。これを朝と夕の2回に分け、汁をかけて雑炊にしたという。
 本書にはこうした事例がイラストを交えて、豊富に書かれている。
 著者は食文化史研究家で、「長寿食研究所」所長。日本各地の長寿の人の食事を現地で調査・研究し、本書のほかにも類書を多く出版している。
 本書を読めば、和食を通して日本史を勉強できるばかりか、何が健康によいのか知ることもできるだろう。(河出書房新社。本体3200円)

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2017年3月29日 (水)

本の紹介『栄養素のチカラ』(ウィリアム・ウォルシュ著。生田哲博士監訳)

Index  人のカラダにとって、日々どのような食べ物を摂取するかが重要なのは当たり前の話だが、最近ではカラダの一部である「脳」にも大きな影響を及ぼすことが知られるようになってきた。例えば“うつ病の原因は間違った食生活にある”といった本が出版されている。
 著者のウィリアム・ウォルシュ氏は、アメリカで栄養療法研究の第一人者として知られている。本書を推薦した宮澤賢史・医学博士によると、「囚人支援のボランティアで殺人犯の脳の分析を行ったのがきっかけになり、20年にわたり2800人のうつ病患者に、延べ3万件の生化学検査を行い、脳の状態を分類した」「また、それぞれのタイプ別に、薬と同様に効果的でしかも副作用が少ない栄養療法を体系化した」という。
 前半部分で、人間には生化学的個体差があり、脳の構造の解明が進んだこと、そして脳に対し栄養素が果たす役割がわかってきたことを述べる。
 その上で、うつ、統合失調症、アルツハイマー病といった精神疾患を生化学タイプ別に分類し、それぞれの生化学にあったタイプ別のオーダーメードの栄養療法を詳細に解説している。
 この精神医学がさらに進歩し、栄養療法が定着すれば、現在使われているような向精神薬は不要になる、といった展望も示されている。そうなれば、精神疾患に悩まされている方への大きな朗報になるだろう。
 ただし、本書冒頭に「この本の情報をもとに自己判断で治療を試みてはならない」と明記されていることをひと言、付け加えておく。
(ら・べるびぃ予防医学研究所発行。本体2778円)

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2016年10月28日 (金)

書評『よくわかる! 脳にいい食、悪い食』(生田哲著。PHP研究所)

9784569831008 「カラダによい食べ物」といった題材の本や雑誌の特集、それにネット情報は巷に氾濫しているが、今回紹介する生田哲氏の本は、ずばり「脳」にとってどんな食べ物が良く、どんな食べ物が悪いのかを解説したもの。
「脳が快適に働くには、神経細胞同士のやりとりが円滑」でなければならず、そのためには「脳のエネルギーとなる糖類、神経細胞をつくる原料であるタンパク質や脂肪、伝達物質をつくる原料となるアミノ酸が必要」になる。
 こうした栄養素を上手に取ることによって、記憶力や集中力が持続し、脳の「本来の力」が発揮される、ということだ。
 第2章では、「脳を快適に働かせる栄養素」の詳細と、なぜそれらが脳を快適にするのかというメカニズムが説明される。具体的には、
・サンマやサバに多く含まれるDHAが頭の回転を速くする、
・野菜、豆類などのスローリリースの糖類で集中力アップ、 
・鶏卵、ダイズ食品などのフォスファチジルコリンで記憶力改善、などなど。
 第3章では、逆に「脳に悪い食べ物」が紹介される。例えばタバコは有害だが、脳にとっても悪影響で、なんとIQを下げてしまう。その理由も説かれているので、喫煙者は読んでおいた方がよい。
 漫画、イラスト入りで、読みやすいが、生田氏の既刊書と同様、最新の科学的知見に基づいている。受験生のお子さんを持つ家庭なら必読書だろう。
(本体740円+税)

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2016年1月26日 (火)

書評『愛する人が死ぬ前にやっておくべきこと』(臼井由妃著。日本実業出版社)

51zcbtmqul__sx344_bo1204203200_ 人は誰でもいつかは死ぬ。これは当たり前の話だが、誰もが考えるのを避けてしまう。「余命宣告」を突きつけられた場合ならいざ知らず、自分自身やパートナー、両親などの「死」を普段から意識する人は少ない。
 著者・臼井由妃氏は、30代で会社経営者の男性と結婚。ところがその3ヶ月後に夫が末期の骨髄がんで「余命半年」との診断を受けてしまう。大変な衝撃だったであろう。しかし夫は気丈な方で、動転する著者に対し「僕が死ぬ前にやっておくべきことを、一緒に考えて決めていこう」「納得できる“死に際”を考え、実行するのは、愛する者の共同作業なんだ」と説得したという。
 以後、2人は死というひとつのゴールを意識しながら生きていく。やがて迎えた夫の死で様々な困難を経験するが、いまは「自らの死」を見据えて毎月「会議」を開いているという。
 本書はその経験の記録であり、その経験をもとに導かれた「愛する人が死ぬ前にやっておくべきこと」の具体的アドバイスだ。
 身内の死と言うと遺産相続が思い浮かぶが、残すべきものは資産だけではない、と著者は言う。「思いを伝える、誤解を解く、許す、謝る・・・愛する人のメッセージも『財産』なのです」。
 死と向き合う心構え、本音で相談できるプロの法律家を持つこと、財産の有無にかかわらず「遺言書」を書いておくべきこと、最後を過ごしたい場所を決めておくべきこと、など極めて具体的なアドバイスが参考になる。
「逝く者、残される者、両者にとって『最善の死』を迎えるための準備。それこそが、愛する人がいる、愛されている人の責務なのです」(本体1400円)。

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2016年1月15日 (金)

書評『人は生まれ変われる。前世と胎内記憶から学ぶ生きる意味』(池川明・大門正幸共著。ポプラ社)

51dsaggryml__sx312_bo1204203200_ 出産の現場で「胎内記憶」に取り組む産婦人科医師と、「胎内記憶」の第一人者・池川明氏の共著。池上氏が製作したドキュメンタリー映画「かみさまとのやくそく」については本ブログで紹介したことがある。
「胎内記憶」とは、母親の胎内にいた時の記憶のこと。人間は実は母親の胎内にいる時のことを覚えているが、成長するに従って忘れていく、という説だ。
 さらに、世の中には「前世の記憶」を証言をする子どもたちが存在する。本書には、そうした数名の子どもからの聞き取りが掲載されている。
 こう聞くと、胡散臭いオカルトまがいの話だろうと断定する人も多いだろう。ところが、まだ言葉を覚えたばかりの子どもたちが、見知らぬ土地や家族のことを詳細に語るのを聞くと、何とも神妙な気分になる。
 3歳数ヶ月のある女の子が、あるきっかけで「自分の前世はインド人だった」と母親に語り出し、家族構成や自宅の間取り、近所の様子を説明する。そしてある男が家に放火したことが原因で死亡したと話し、炎や犯人に似た男を見ると、異常に怖がるようになったというのだ。こうした子どもたちの例がいくつか紹介されている。
 そうは言っても、想像力豊かな子どももいるし、これらをもって「生まれ変わり」があるとは断定できない。
 ただ著者の狙いは「胎内記憶」「生まれ変わり」を科学的に証明することにあるのではない。「胎内記憶は子育てや生き方を豊かにするツールのひとつに過ぎません。そして、そのツールをどう使いこなすかは人それぞれです」(前書きより)。生きる意味や親子の関係を考える上で、ひとつのヒントになるだろう(本体1200円)

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2016年1月 8日 (金)

書評『図解 眠れなくなるほど面白い 科学の大理論』(大宮信光著。日本文芸社)

Img113 最近の科学の進歩は急速だ。日進月歩ならぬ「秒進日歩」とも言える速さであり、日本をはじめ世界中で科学者が発見を競っている。これを、ノーベル賞がやっとこさ後追いしているようにも見える。
 しかし、科学のシロウトには新たな発見が何を意味しているのかわかりづらい。大学で理系の勉強をしてきた人ならともかく、基礎的な物理法則すら忘れてしまった人にはなおさらだろう。
 そういう人向けに、図解を使ってわかりやすく科学の理論を教えてくれるのが本書だ。
 まず第1章で、「ips細胞」「ダークマター」「ヒッグス粒子」といった最新の科学理論が紹介される。これらの発見は、22世紀に向けて、実用化など新たな展開をもたらすだろう。
 第2章では、私たちの日常生活で見られる様々な現象を、物理の法則を使って平易に説明。“重い飛行機がなぜ宙に浮くのか”これは、「流れの中では、流れの速さが速いほど圧力は低く、遅いほど圧力は高い」というベルヌーイの定理で説明できる。仕事で欠かせないコピーも、根本の原理は静電気のおかげ。
 そして最終章では、「生命と宇宙の謎」に迫っていく。細胞とDNAの仕組み、ビッグバン理論、宇宙文明方程式といった壮大な科学理論が展開される。
 SF作家で科学ジャーナリストの著者が、難解な理論を屈託のない文体で説明しているのが楽しい。(本体680円)

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