本の紹介『超新説で読みとく 信長・秀吉・家康の真実』(跡部蛮著)
NHK大河ドラマ「どうする家康」を見て、これが戦国乱世を生き抜き、江戸幕府を切り開いたあの徳川家康なのか、と戸惑う人が多いらしい。私たち後世の人間は、江戸時代に作られ、神格化された家康像を知らず知らずのうちに引き継いでいる。
歴史研究家の著者・跡部蛮氏によれば、いま、信長、秀吉、家康という戦国の「三英傑」について、次々と新説や新解釈が飛び出しているという。「諸説を整理したうえで、最新の説に筆者自身の新解釈を加え、まったく新しい三英傑たちの歴史」を描き出したのが本書だ(「はじめに」より)。
例を引こう。信長の「本能寺の変」は、「光秀が単独で謀反に及んだ」(単独犯)、「別の主犯が存在し、光秀はその“真犯人”の操り人形だったとする説」(真犯人存在説)、「主犯は光秀ながら事件の背後に光秀を後押しする黒幕がいた」(黒幕存在説)の三つの説があるという。著者の解釈はそれらを踏まえつつ、光秀が謀反を起こすに至った真の動機と背後関係について、歴史の素人にもわかるよう解説してくれる。
ほかにも秀吉の朝鮮出兵は「銀を売るのが本当の狙いだった」こと、「関ケ原の合戦は天下分け目の合戦にあらず」等、著者の新解釈を読むと、これまでの三英傑のイメージが大きく覆される。(本体1500円+税)
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