『「健康神話」を科学的に検証する それホントに体にいい? 無駄?』(生田哲著。草思社)
テレビやインターネットでは日々、健康に関する様々な通説があふれている。「抗生物質がカゼの原因とされるばい菌を殺す」「少しの飲酒はまったく飲まないよりも健康にいい」「がんは遺伝子の病気である」「日本人はカルシウムが不足している」等々。
これらは実は、すべて 間違った健康知識だった。
本書は健康にまつわる様々な「神話」を16のカテゴリーにわけて検証しているのだが、類書と違うのは、科学的に検証され、出典が明記された論文にもとづく検証であり、かつ、特定企業がスポンサーになっていない情報を根拠にしている点だ。
たとえば「少しの飲酒はまったく飲まないよりも健康にいい」という通説は「ウソ」であり、「アルコールは摂取量にかかわらず有害」なのであるが、その根拠は、ワシントン大学医学部のグループがアルコールの影響に関する約600の治験論文を集めて分析し、医学雑誌「ランセット」に掲載した論文(2018年)にもとづいている。この論文によれば、1日2杯飲む人はまったく飲まない人にくらべ、健康リスクが7%も上昇する、1日5杯飲むと37%も上昇する、というのだ。
健康にまつわる情報は、飲食産業だけでなく、様々な業界のビジネスになっている。惑わされないためには、自分の健康を自分で守れる知見を養うしかない。本書はそのためにきわめて有用だ。(本体1980円)
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