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2021年11月 8日 (月)

本の紹介『「生まれ変わり」を科学する』(大門正幸著)

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 本書のデータによれば、日本で「生まれ変わり現象」を信じている人は42.6%(2008年)。決して少なくない割合だ(ちなみに1位は台湾で59.8%)。
 ただ一般的には「科学的でない」とか、甚だしくは「オカルトもどき」と揶揄される傾向がある。実際はどうなのか? 日本における生まれ変わり研究の第一人者といえる大門正幸氏(中部大学大学院教授)の本書は、世界の生まれ変わり研究の実績と、自身の調査結果を踏まえて書かれており、生まれ変わり問題を考察するのに格好の一冊となっている。
 生まれ変わり研究の第一人者は、アメリカの精神科教授のイアン・スティーブンソン(1918-2007)という人物である。「前世の記憶をよみがえらせた」子どもにつき、40年にわたって面接調査をした。膨大な調査のうち本書ではいくつかの事例が取り上げられている。
 例えば、スリランカのある双子姉妹が、自分たちは反政府暴動を起こそうとして警官に殺害された双子の男性の生まれ変わりだと述べ、二人が知りようがない男性たちの死に際の詳しい状況を語ったというものだ。
 こうした「過去生を語る子どもの事例」を通してみるとき、それは子どもの親の信仰とは関係がないこと、また子どもは幼い頃に過去生の話をしだすが、成長するにつれて記憶は薄れていき、やがて忘れてしまうという特徴があることがわかってきたという。
 多くの驚くべき調査結果を見ても、生まれ変わりがあるか否かの判断は、読者の生死に関わる観念に委ねられるだろう。ただし生まれ変わり論にはそれなりの根拠があると知れば、「それを知らなかった頃と比べ、自分と自分を取り巻く世界を、より輝かしく、より愛しいものに感じさせて」くれるのは事実である(本書あとがきより)。
(桜の花出版。定価1485円)
 なお大門氏の著書は本紙でも過去、取り上げたことがある。
 書評『人は生まれ変われる。前世と胎内記憶から学ぶ生きる意味

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