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2020年10月

2020年10月 5日 (月)

<書評>『沖縄空手への旅ーー琉球発祥の伝統武術』(柳原滋雄著。第三文明社)

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 空手をほんの少しだけかじっている本紙・山岡からすればまさに「目からうろこ」の書。
 空手の発祥が沖縄(琉球)であることは知っていたが、お恥ずかしながらそれだけのことだと思っていた。
 ところが、本書によれば似てあらざるものであることがよくわかった。
 本当にやるのかひじょうに怪しいが、来年の東京五輪でオリンピック初の種目に選ばれ関心が高まる空手。
 だが、本土で行われている空手はケガをしないことを考慮し、決められたルールのなかで行われるスポーツ競技の1つに過ぎないと。確かに顔面パンチ、金的蹴りなど禁止されていることだけ見てもその通りだろう。だが、本書を読み進むとそんなレベルの差ではないことがよくわかる。
 沖縄空手は生死をも掛けた実践で勝つための武術。当然、顔面、金的など何でもあり。その実践では、スポーツ空手でよく使う上段蹴りなど簡単に足をすくわれ使えない。フルコンタクト空手もその点は同じ。
 そして、何より本紙・山岡がハッと思ったのは、スポーツ空手は体力勝負の面が大きいので40歳ともなれば若い選手に負けてしまうことも。ところが、武術の沖縄空手はひじょうに合理的で、体力差に関係なく、その技を取得したら老人でも若者に勝てる。そのため、極真空手で若いころチャンピォンになった者でも沖縄空手に魅せられる者は多いという。
 その差はとてもこの書評で書けるものではないが、あえていえばスポーツ空手は力まかせの「剛体」。これに対し沖縄空手はナイハンチ腰(足幅をやや広めにとり心なしか腰を落とした立ち方)で力を抜いた状態から繰り出すしなやかな技=「柔体」。突き詰めれば、実に合理的な「骨格操作」の技法であり合気(道)にも通じるという。
 こうしたことから、沖縄は2005年から3月29日を「空手の日」に制定。世界中からスポーツ空手では満足できない者が来沖。また、今回の東京五輪で空手を種目に入れることに関しては、それはスポーツ空手であることから、賛否両論あったという。
 なお、誤解のないように断っておくが、沖縄空手の指導者の多くは、スポーツ空手→試合をしないとわからないこともあるということで、決してスポーツ空手を否定しているわけではない。
 とはいえ、本書に触れ、本紙・山岡も沖縄空手を習いたい気になった次第。
 筆者は、そもそもは極真空手でやっていたが辞めていたところ、たまたま知り合い、本紙・山岡がやっていたいわゆるスポーツ空手に誘ったことで再度始め、ほどなくそれに飽き足らず退会。そして、今や沖縄空手を追及してという縁あってのこと。
 献本してくれ、それにより偉大な沖縄空手の存在に気づかせてくれたことに切に感謝したい。
(1600円+税)

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