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2019年11月

2019年11月17日 (日)

<書評>『江戸東京透視図絵』(文・跡部蛮。絵・瀬知エリカ。五月書房新社)

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 東京の街歩きガイド本は、その地の歴史解説を含めたものもすでにいくつか出ている。
 だが、このガイド本の、その地が江戸時代はどんな場所で、どんな出来事があったかの解説は突出してスグれている。まるで江戸時代にタイムスリップし、自分がそこを歩いているかのように引き込まれるのだ。
 その理由はいろいろある。
 本文担当の跡部蛮氏の江戸時代に関する博識さ(佛教大学大学院文学研究科=日本史学専攻=博士後期課程終了)と、跡部氏、江戸切絵図という古地図を持って街歩きする「江戸ぶら会」を主宰しているからそのガイドぶりが見事に一致。おまけに、ふんだんに該当地の江戸切絵図と現在の地図、街並みから標識、歴史物とその説明図などの写真が掲載されている。
 さらに本書が引き込まれるは、和物、歴史物の装画で人気のイラストレータ・瀬知エリカ氏が絵を担当。現在の写真に、江戸時代にその地であった事件や出来事のワンシーンをイラストで描き重ね合わた透視絵図が載っていること。こんなガイド本ないだろう。
 本書では、墨田区両国(赤穂浪士討ち入りの吉良邸)、目黒区中目黒(茶屋坂。目黒のさんま)、台東区千束(吉原遊郭)、荒川区南千住(小塚原刑場と鼠小僧)、港区赤坂(3つの勝海舟邸)、豊島区駒込・文京区本郷(八百屋お七と3つの火事)、新宿区大京町(沖田総司終焉の地)、台東区上野(幕府終焉の上野戦争)各周辺など12話で構成されている。
 この充実ぶり、他にもたくさんの歴史的場所があることを思えば、続編も期待される。
(1900円+税)

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