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2018年9月21日 (金)

『大東建託の内幕 〝アパート経営商法〟の闇を追う』(三宅勝久著)

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 大東建託といえば、売上高が1兆円を超す大企業だ。賃貸住宅業界の最大手であり、テレビ・コマーシャルでも名が知られている。しかし本書を読めば、「いまどきこんなブラック企業があるのか」とその実態に驚く。
 本書は自殺まで追い込まれる社員の姿や、詐欺まがいの手法で売上を伸ばすため重い“犠牲”を払わされるオーナー等の、ふたつの側面から大東建託の実態に迫っている。
 前半、顧客とのトラブルで、会社から400万円を自腹要求され、自殺する営業マンや、毎日15時間以上に及ぶ営業に追われ、過労死する営業マンが登場する。遺族にも取材し、そのリアルで悲惨な実態が伝わってくる。
 一方、ノルマを課せられた営業マンから「一括借り上げで家賃保証があるので安心ですよ」と甘い言葉で勧誘されたオーナーが、突然家賃を引き下げられる等、詐欺的な手法で被害を受けた実例も明らかにされた。
 昨年、同社内に労働組合ができたが、その委員長は三宅氏の取材に応じたというだけで減給処分や譴責処分を受けたという。さらには三宅氏にも「名誉毀損」訴訟をちらつかせ恫喝するといった、とんでもない企業なのだ。
 しかし大手メディアは、広告主である大東建託に配慮しているのか、事件化した表面の部分しか取材しない。足掛け9年に及ぶ取材をした、フリージャーナリストの三宅氏だからこそ書けた本と言えるだろう。ぜひ手にとって読んで頂きたい。
(同時代社、本体1500円)

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