<書評>『ゴッドファーザーの血』(マリオ・ルチアーノ著)
タイトルだけ見ると、関係者のマフィア世界の暴露本と思われるかも知れない。
確かに、著者のマリオ・ルチアーノ氏(53)は、イタリア・シチリア島生まれ、そして米NY5大ファミリーのボスの1人だったラッキー・ルチアーノの血族で、NYで暮らしていた9歳からファミリーの「運び屋」もしていた。しかし、14歳にファミリーを抜けNYを出ている。
もっとも、以降、23歳で訪日するまでパキスタン、フィリピンなど世界各地を転々としている間も、訪日後も長年、ゴッドファーザーの血が呼ぶのか、裏社会と接点を持ち、特にわが国では長年、山口組系の「経済ヤクザ」をしていたという。
というわけで、本書は、映画「ゴッドファーザー」のモデルにもなった伝説のマフィア血族の自伝だ。
もっとも、それだけに出て来る人物もアラファト元PLO議長、マルコス大統領、アルカイダ、5代目山口組・渡辺芳則組長、岡村吾一氏から、高倉健、プロレスラーのタイガー戸口など実に多彩。
とはいえ、決して裏社会を礼賛していない。カネが原因で親兄弟まで含め数々の裏切りに会った挙げ句、見つけた本物は日本人女性との「愛」で、足を洗ったという顛末。
いずれにしろ、その激動の半生は興味深く、その世界に興味がある者なら一挙に読み終えること請け合いだ。
(双葉社・1500円+税)
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