書評『人は生まれ変われる。前世と胎内記憶から学ぶ生きる意味』(池川明・大門正幸共著。ポプラ社)
出産の現場で「胎内記憶」に取り組む産婦人科医師と、「胎内記憶」の第一人者・池川明氏の共著。池上氏が製作したドキュメンタリー映画「かみさまとのやくそく」については本ブログで紹介したことがある。
「胎内記憶」とは、母親の胎内にいた時の記憶のこと。人間は実は母親の胎内にいる時のことを覚えているが、成長するに従って忘れていく、という説だ。
さらに、世の中には「前世の記憶」を証言をする子どもたちが存在する。本書には、そうした数名の子どもからの聞き取りが掲載されている。
こう聞くと、胡散臭いオカルトまがいの話だろうと断定する人も多いだろう。ところが、まだ言葉を覚えたばかりの子どもたちが、見知らぬ土地や家族のことを詳細に語るのを聞くと、何とも神妙な気分になる。
3歳数ヶ月のある女の子が、あるきっかけで「自分の前世はインド人だった」と母親に語り出し、家族構成や自宅の間取り、近所の様子を説明する。そしてある男が家に放火したことが原因で死亡したと話し、炎や犯人に似た男を見ると、異常に怖がるようになったというのだ。こうした子どもたちの例がいくつか紹介されている。
そうは言っても、想像力豊かな子どももいるし、これらをもって「生まれ変わり」があるとは断定できない。
ただ著者の狙いは「胎内記憶」「生まれ変わり」を科学的に証明することにあるのではない。「胎内記憶は子育てや生き方を豊かにするツールのひとつに過ぎません。そして、そのツールをどう使いこなすかは人それぞれです」(前書きより)。生きる意味や親子の関係を考える上で、ひとつのヒントになるだろう(本体1200円)
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