書評『心が通じる ひと言添える作法』(臼井由妃著。あさ出版)
ここ10年、携帯電話に加えてメール、SNSとコミュニケーションツールは圧倒的に拡大した。しかしそれでコミュニケーションが円滑になったかといえばそうとも言い切れないだろう。
著者はビジネスでもプライベートでも、心のこもった「ひと言」を付け加えることで、人間関係が格段に変わるという。
例えば誕生日のプレゼントを贈るときに添える一筆箋で、「お誕生日おめでとう」だけでは、その人個人に対する「思い」は伝わらない。そこに、「お互いに楽しく歳を重ねたいですね」「新しいことに、一緒に挑戦していきましょう」など、さりげないひと言を加えると、たしかに印象が変わる。
また、メールや手紙で、要件のみを事務的に伝えるとき、つい定型文で終わってしまいがちだ。しかしそこに感情のこもった「追伸」をひと言添えるだけで、親密度がグッと深まる。
著者が薦めるのが一筆箋の活用だ。3行程度の短い文だが、いざ書こうとしてもなかなか思い浮かばないもの。そこで著者は「書き出しは気楽に」「礼儀をあえて無視する」など、一筆箋を書く際の“七つのポイント”を紹介して執筆を手助けしてくれる。
全編にわたり、とにかく豊富な文例が載っており、すぐに実用できる。ただ、文章技術が大事なのではない。「あなたらしさは、あなたのすなおな言葉で生まれるもの。本書で紹介したのは、その言葉の表現方法であって、こうしなければならないルールではありません」と著者。
著者の臼井由妃氏はエッセイスト、経営者。日テレの人気番組「マネーの虎」にも出演していた方だ。本書は、著者から直接献本頂いたのだが、しっかり心の籠もった「一筆箋」が添えられていた。
(本体1300円。なお本書は『人をトリコにする“ひと言添える”作法』の加筆・修正版)。
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