書評『ビックリするほど遺伝子工学がわかる本』(生田哲著。サイエンス・アイ新書)
「免疫不全で遺伝子治療」「肥満になりやすい遺伝子」など、毎日のように遺伝子に関するニュースが飛び交っている。
今やバイオテクノロジーは、情報産業と並ぶ世界経済のけん引役だ。
薬学博士・生田哲氏の最新刊は、ズバリ、その遺伝子工学。
本書は3章に分かれる。
まず1章は「遺伝子工学とはどんなものか?」で、細胞と遺伝子の仕組み、遺伝子組み換え技術、そしてDNA合成技術が解説される。用語だけを見ると難しいが、節ごとにイラストが挿入されており理解の手助けになる。
2章は「遺伝子工学でこんなことができる」。遺伝子工学を用いて様々なタンパク質が作られ、それが糖尿病の治療や免疫細胞の強化に役立っている。一時、センセーショナルに取り上げられたクローン羊の成り立ちから、微生物を検出する「蛍の光」、エイズの予防薬を作るカイコに至るまで、遺伝子工学の可能性は無限に広がっているという。
遺伝子の仕組みを理解した上で、3章「ヒトの病気にかかわる遺伝子」を読めば、がんはまさに遺伝子のダメージによって起こることが理解できる。何と様々な病気の元になる「肥満」も、遺伝子の変異が原因だという。
「出生前診断」「ヒトゲノム計画」「ips細胞」などの最新情報にも触れられている。これ一冊を読めば、遺伝子工学の基礎から最先端まで、素人にもよくわかること請け合いだ。
(本体価格1100円+税)
| 固定リンク
「書評」カテゴリの記事
- <書評>『新型コロナウィルス・NEWSウォッチーーコロコロ日記』(ヒグマルコ著。リーダーズノート出版)(2020.05.13)
- <書評>『日本人に合ったがん医療を求めて』(水上治著。ケイオス出版)(2020.03.22)
- <書評>『日本長寿食辞典』(悠書館)、『徳川ごはん』(mores出版)。どちらも著者は永山久夫氏 (2020.01.05)
- <書評>『江戸東京透視図絵』(文・跡部蛮。絵・瀬知エリカ。五月書房新社)(2019.11.17)
- 書評『他人の頭を借りる超仕事術』(臼井由妃著。青春出版社)(2018.12.12)
コメント