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2015年8月

2015年8月28日 (金)

書評『ビックリするほど遺伝子工学がわかる本』(生田哲著。サイエンス・アイ新書)

11_4「免疫不全で遺伝子治療」「肥満になりやすい遺伝子」など、毎日のように遺伝子に関するニュースが飛び交っている。
 今やバイオテクノロジーは、情報産業と並ぶ世界経済のけん引役だ。
 薬学博士・生田哲氏の最新刊は、ズバリ、その遺伝子工学。
 本書は3章に分かれる。
 まず1章は「遺伝子工学とはどんなものか?」で、細胞と遺伝子の仕組み、遺伝子組み換え技術、そしてDNA合成技術が解説される。用語だけを見ると難しいが、節ごとにイラストが挿入されており理解の手助けになる。
 2章は「遺伝子工学でこんなことができる」。遺伝子工学を用いて様々なタンパク質が作られ、それが糖尿病の治療や免疫細胞の強化に役立っている。一時、センセーショナルに取り上げられたクローン羊の成り立ちから、微生物を検出する「蛍の光」、エイズの予防薬を作るカイコに至るまで、遺伝子工学の可能性は無限に広がっているという。
 遺伝子の仕組みを理解した上で、3章「ヒトの病気にかかわる遺伝子」を読めば、がんはまさに遺伝子のダメージによって起こることが理解できる。何と様々な病気の元になる「肥満」も、遺伝子の変異が原因だという。
「出生前診断」「ヒトゲノム計画」「ips細胞」などの最新情報にも触れられている。これ一冊を読めば、遺伝子工学の基礎から最先端まで、素人にもよくわかること請け合いだ。
(本体価格1100円+税)

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2015年8月24日 (月)

書評『いくつになっても夫婦の性生活がうまくいく秘訣』(石蔵文信著、すばる舎)

11_3   夫婦間の性生活はいつの時代も悩みのタネ。性がオープンになってきた現代だが、それでもこと夫婦間の性はプライバシーの深層に係るため、誰にも相談できず苦しむ方は多いだろう。
 大阪樟蔭女子大学教授で、循環器専門医の著者は、「男性更年期外来」をみずから開設するなど、中高年の性に関する第一人者。外来に訪れる“患者”とのやりとりの中から本書は生まれた。
 そもそも性生活はそんなに大事なことなのか。「性機能の低下は、全身の機能低下につながり、当然、気力も衰えていく」と著者は言う。
 それなのに、「パートナーとのセックスがうまくいかない」「その気になれない」と悩みは尽きない。では、どうしたらよいのか・・・。著者のアドバイスは具体的だ。
 カラダに異常がないのなら、妻とのコミュニケーション不足が原因かもしれない。あるいは、男性更年期や「うつ」の可能性も。その対処法が詳しく書かれてある。
 もしED(勃起不全)ならば、いまや様々な治療法・治療薬がある。ED治療薬は「心臓に悪い」と指摘されることがあるが、安全な治療薬の見極め方を指摘しているのは専門医である著者ならでは。
 「妊活」に悩んでいる方、セックスレスに悩んでいる方、定年退職後の関係に悩んでいる方に、ぜひおススメしたい本である。(1400円+税)

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