<書評>『秘密保護法―社会はどう変わるのか』 (集英社新書)
12月10日の施行が迫る、天下の悪法=「特定秘密保護法」。来る11月19日、秘密保護法の問題点や背景をコンパクトにまとめた新書が発売される。
著者は元日弁連会長の宇都宮健児氏、「秘密保護方違憲確認差し止め請求訴訟」原告弁護人の堀敏明氏、刑法学者の足立昌勝氏、そしてフリージャーナリストの林克明氏の4人だ。
堀氏は「誰が、何のために秘密保護法をつくったのか」と題して、それがアメリカの軍事情報保護が出発点だったこと、法案自体が秘密裏に有識者会議で検討され、パブリックコメントも無視されて作成された経緯をたどる。
足立氏は、国家が個人の人格を調査する恐ろしさを指摘し、共謀罪や盗聴法とセットになることによって「超監視社会への道」が開かれる、と警鐘を乱打する。
林氏は、本紙・山岡も名を連ねる「フリーランス表現者43名による秘密保護法違憲訴訟」原告の一人。フリーランスだけで原告団を結成した意味を述べつつ、法施行後は警察の不祥事やテロ絡みの取材が事実上、不可能になってしまうと指摘。「日本中で裁判を起こそう」と訴える。
最後に宇都宮氏は、集団的自衛権の容認や貧困・格差の拡大を進める安倍政権が秘密保護法を強行する狙いを分析し、国民の耳、目、口を塞いでしまう法律だと徹底批判。
秘密保護法が施行されても、それで諦めてしまってはならない。同法が違憲であることを司法に認めさせれば、「無効」に追い込める。本書をその武器として活用しよう(2014年11月19日発行。本体700円)。
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