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2014年10月22日 (水)

書評『ブレる日本政治』(鈴木哲夫著。ベスト新書)

Img069 安倍政権の化けの皮が剥がれつつある。
 10月20日、小渕優子経産相と松島みどり法相が相次いで辞任した。「女性の活躍」を全面に押し出した安倍改造内閣が発足し、ひと月余りで女性大臣2名が「政治とカネ」疑惑で辞任したのだから、打撃は大きい。
 こうしたなか、タイミングよく出版されたのが本書だ。
 著者・鈴木哲夫氏はフジテレビなど報道部を歴任してきた、政界の裏表に精通するジャーナリスト。
 著者は安倍政権の問題点を5つの観点から追及する。「ポーズばかりの茶番政権」「国民をみない政権」「信念への妄信」「官邸主導という専制」「国会の機能不全」。
 特定秘密保護法案をめぐって野党やメディアが大騒ぎしている裏で、高齢者の医療負担を上げる法律を成立させたり、同様に集団的自衛権問題の裏で介護保険制度の見直し法案を成立させる姑息な手法(「ポーズばかりの茶番政権」)。
 官邸主導で与党を無視してすべてを決める安倍首相の強引さに対し、自民党内で派閥の領袖たちが不満を強めている。党内の多様性を無視し続ければ、新たな権力闘争の引き起こしかねない、と著者は指摘する(「官邸主導という専制」)。この辺りは永田町を取材し続け、政治家の本音を知り尽くす著者ならではの分析だ。
 年内には福島県知事選(10月26日)、沖縄県知事選(11月16日)があるが、その勝敗は? さらに来年秋、消費税10%アップを断行するのか? 様々なシナリオが解説される(「安倍政権の未来」)。
 安倍政権の今後を見据える上で、いま読んでおきたい本だ。

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