書評『マンガでわかる自然治癒力のしくみ 心臓病、うつ、がん…慢性ストレスが原因の病気に打ち勝つための力とは!?』(生田哲著。サイエンス・アイ新書)
薬学博士・生田哲氏の最新刊は、人間に本来、備わっている“自然治癒力”についてである。
世の中に「病院は危ない」「現代医学は不要」と訴える書物が出回っているが、医学的に根拠のないトンデモ本の類が少なくない。本書は、そうしたものとは一線を画し、生化学・医学・薬学に精通している著者ならではの立場から、病気に打ち勝つには何よりも自然治癒力を高めるべきとする。
この自然治癒力は、「脳、免疫系、内分泌系」の三者で構成される。このバランスがストレスによって壊れると、病気になりやすくなる。「病気の原因の80%はストレス」とも言われる所以だ。
ワシントン大学の教授がストレスの大きさを数値化した。「配偶者の死」をストレス度100とし、以下「離婚」「解雇」等と続いていくが、この数値を元に「1年間に体験したストレス度の総得点が300点を超えた人の79%が1年以内に病気になった」という。
ストレスと病気のメカニズムを理解したら、次はこのストレスの正体とその対処法、そして自然治癒力を高める具体的な方法が知りたくなる。著者はビタミンやミネラルといった栄養素とそれを多く含む食品を紹介してくれる。また日常生活のアドバイスも。「笑う人は健康だ」とはよく聞くが、著者は医学的にこれを証明している。
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