書評「明治維新は『戦国時代からはじまっていた!』 」 (跡部蛮著。双葉新書。800円+税)
「信長、秀吉、家康 『捏造された歴史』」に続く続編。日本史の謎を探る第3弾となる。
扱っている時期は、戦国時代から幕末に至っている。
前作に引き続き、学会の「通説」、つまり我々にとっては常識と信じられてきたものに次々と疑問をなげかけており、興味深い。また、謎として残されている、数々の未解決事件に挑んでいる。
「厳島合戦は奇襲ではなかった」「池田屋事件で、本当に長州藩士らは京都を焼き尽くす『テロ』の実行を計画していたのか」「薩長同盟の際の薩摩藩の不可解な行動」等々。
もちろん幕末最大の謎と言われる、「坂本竜馬暗殺の真相とその黒幕」も探られている。実行犯は「京都見廻組」であり、黒幕は「薩摩藩」であるとの推理が近年、まことしやかに語られているが、著者の推理は?
前作同様、奇を衒った言い回しをせず、公家や武将、関係者の証言など第一級の史料にもとづいた、論理的な推理がつづられている。
また、日本史というと「戦国時代」「幕末」「明治」と専門の研究分野が分断されているため、横断的な見方がややもすれば失われがちだ。
しかし本書では、例えば幕末志士を生み出した諸藩が、それを遥かさかのぼる関が原の合戦で、どのように動いたのかを辿っている。そうすることで、幕末から維新に至る諸藩の動きが見えてくる。
多くの日本史、ミステリーファンに読んでほしい本だ。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント