書評『砂糖をやめればうつにならない』(生田哲著、角川書店)
「砂糖をとりすぎれば肥満になり、肥満は万病のもととなる」ことは常識といっていい。
だが砂糖は依存性をもち、とりすぎると低血糖症を招く。そればかりか「うつ」の原因になり、凶暴性を引き起こす。
そう聞けば誰しも疑問をもつだろうし、「誇張しすぎでは?」と思うだろう。
ところが本書を読むと、多くの事実に気づかされる。
まずはこんな具体例がある。「オハイオ州の保護監察官バーバラ=リード・スティット博士は、ドーナツ、ケーキ、キャンディ、コーヒー、コーラ、缶詰、その他のジャンクフードを食べつづけた、深刻なうつで怒りっぽい、多くの非行少年を見事に更生させました。/彼女は、非行少年の食事から砂糖や精白小麦粉でつくった食べ物、食品添加物、カフェイン、アルコール飲料を取り除き、その代わりに、新鮮な野菜、果物、水、健康によい油、脂肪分の少ない肉と魚を与えました。/結果は驚くべきものでした。彼女の担当した非行少年の80%が社会で立派に働く人に変わったのです。・・通常、彼らの再犯率は70~85%、すなわち、少年院の収容者の15~30%しか更正できないのです」。
この部分だけを読んでも「ほんとかな?」と思うかもしれないが、なぜそうなるのかを医学的に、しかし基礎知識のない私たち一般読者にもわかりやすく、著者は解説してくれる。
そもそも砂糖は食べ物と言うより、化学物質。食べ過ぎると血糖をうまくコントロールできなくなり、低血糖症になる。低血糖症になると脳がエネルギー不足になるため正常に働かない。不眠、不安、イライラ、怒り、ドキドキなどを招く。
砂糖を使った甘いものは、たしかにおいしい。「わかってはいるけど、やめられない」とあきらめる前に、依存性をもち、万病のもととなり、精神にも影響を及ぼす砂糖について、正しい知識をしっておきたい。
(本体724円)
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