書評『「男のうつ」―治らなくても働ける! 』(石蔵文信著。日本経済新聞出版社。本体1600円)
ベストセラーになった漫画「ツレがうつになりまして。」ではないが、中高年男性のうつ病が深刻になっているという。
そしていったんうつ病になると別の精神疾患、たとえば依存症、不安障害を併発しやすくなる。仕事はよくて休職(非正社員であれば雇い止めになることも)。
休職すれば、うつ病の症状は軽減する。しかし休職が長引けば会社に戻れるか不安が募ってしまい、症状が悪化するという悪循環も生まれる。
本書は、そうした悩みを抱える人への朗報だ。ポイントは、仕事の負担を減らしてもらいつつ、通勤しながら治療を続けること。
「ちょっとがんばれば大丈夫」と医者や周りの支援者が励まして、働きながら回復を目指す、というのが著者の薦める「メンタルインターベンション」という手法。ということで、本書はうつ病に悩む本人だけでなく、医者、企業関係者、会社の同僚、家族にとっても参考になるだろう。
あわせて、「男うつ」の特徴と、若者に多い新型うつ病についての解説も参考になる。
著者・石蔵文信氏は大阪大学大学院医学系研究科の准教授。男性更年期外来も担当しており、うつ病に悩む中高年とのやりとりから本書は生まれた。
| 固定リンク
「書評」カテゴリの記事
- <書評>『新型コロナウィルス・NEWSウォッチーーコロコロ日記』(ヒグマルコ著。リーダーズノート出版)(2020.05.13)
- <書評>『日本人に合ったがん医療を求めて』(水上治著。ケイオス出版)(2020.03.22)
- <書評>『日本長寿食辞典』(悠書館)、『徳川ごはん』(mores出版)。どちらも著者は永山久夫氏 (2020.01.05)
- <書評>『江戸東京透視図絵』(文・跡部蛮。絵・瀬知エリカ。五月書房新社)(2019.11.17)
- 書評『他人の頭を借りる超仕事術』(臼井由妃著。青春出版社)(2018.12.12)
コメント