書評「信長、秀吉、家康 『捏造された歴史』」(跡部蛮著。双葉新書。800円+税)
前作「信長は光秀に「本能寺で家康を討て!」と命じていた」に続く、戦国歴史トリビア満載の第2弾。
「関ヶ原の戦い」といえば、徳川家康率いる東軍が、石田光成率いる西軍を打ち破った、天下分け目の決戦としてあまりに有名。通説では、家康の用意周到な作戦によって、たたかう前からすでに勝敗は決していた、といわれる。
しかし、本当にそうなのか――。著者はこの通説そのものを疑っている。三成の作り上げた作戦は完璧に近かったし、当時の家康は政治的にきわめて危険な立場におかれていた。ではなぜ敗北したのか?
このように著者は歴史上、通説とされているものに疑問をなげかける。新たに発掘された史実にもとづいた分析が多いから、われわれが教科書や小説や映画などで見聞きした戦国時代の歴史は、実は「捏造」だったのかと目からうろこが落ちる事、間違いない。
関が原の合戦について詳しく取り上げられているが、そのほかにも、「戦国の三英傑」といわれる織田信長、豊臣秀吉、徳川家康が戦った諸合戦や各人のエピソードが豊富に盛り込まれているので、読み物としてもおもしろい。
(2012年3月11日発売)
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