書評『信長は光秀に「本能寺で家康を討て!」と命じていた 』
「本能寺の変」といえば、織田信長がみずからの家臣・明智光秀に暗殺された日本史上の大事件だが、なぜ、光秀が反旗を翻したのか、諸説があり今も謎に包まれている。
本書はその謎を真っ正面から追及した労作だ。新書だが中身は濃い。
ハイライトは、信長が光秀に授けたといわれる、「密命」の内容に踏み込んだ部分だ。そこには「本能寺で家康を討ち取れ」と記されていた・・・。
その“仮説”の根拠となっているのは、当時日本に在籍していたイエズス会宣教師の『日本年報(1582年度版)』、あるいは光秀配下の武士であった『本城惣右衛門覚書』などである。
状況証拠と文献を手がかりに、丹念に光秀謀反の謎に迫る。グイグイ読ませる筆致に思わず引き込まれる。
ほかにも信長にまつわるトリビアがちりばめられていて、興味深い。
追い詰められた信長が火を放ち自害したのは有名だが、信長の遺体が骨一本、毛髪一本に至るまで一切、発見されなかったのはなぜか。実は本能寺は火薬の保管庫だったため、引火して爆死したのではないか、というのが著者の説。
日本史好きの方はぜひ手にとってほしい一冊だ。
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